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ICU2014

ICU 2014年度・秋・金曜567限「法哲学(LAW312)」(70分×3コマ×8回 担当:吉良)

連絡事項を書いたり、配布物などを置くためのページです。
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【レポート課題】

期末レポートは、11月21日(金)までにメール添付で提出してください。
アドレスは jj57010@gmail.com で、念のため tkira26@yahoo.co.jp にもCCお願いします。
受領確認の返事をすぐ出しますが、翌日夕方になってもない場合は電話確認を。
なお、紙のものを提出される場合は、ICUのレポートボックス(または事務?)に、
21日の日中までに余裕をもってご提出ください。

課題: 広義の法(政治)哲学にかかわるテーマであれば自由とする。ただし、講義内容と何らかの形で関連をつけること。
 → 「何か面白いことを書いてやろう」という意欲のあるものを歓迎します。(^^)
分量: 2000~4000字程度を一応の目安とする。多いのはいくら多くても可。英語でもかまいません。
備考: 参考文献を複数用い、比較検討しながら論を進めること。
 → 文献を使わないでただ自説だけを書いているものは不可、または著しく点数が低くなります。
 → wikipedia その他からの単なるコピペ、参照元を書いていない剽窃は失格とします。
添削: 事前コメントを希望される方は、〆切数日前までにその旨を明記して送ってください。
 → コメントを踏まえた上で拡充しての再提出も認めます。というか積極的にそうしてほしいです。
 → レポート以外でも、卒論その他についてもコメントしますので、遠慮なく送ってください。


【お知らせ (1)】

 行政法講演会が下記の日程で開催されます。
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 日時 2014年12月5日(金)16時30分~
 場所 国際基督教大学 H-116 (公開講演)
 講演者 神橋一彦先生(立教大学教授)
 題名「行政法に於ける『義務』の概念――厚木基地訴訟判決の検討を中心に」
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 開催前・終了後には「法哲学」受講者を中心に読書会・卒論等検討会を開催しますので、ぜひご参加ください。

【お知らせ (2)】

 第8回の最終回は、憲法学の中村安菜先生(日本女子体育大学専任講師、ICU「日本国憲法」担当」をお招きし、「ドイツにおける国籍と血統」と題してレクチャーいただきました。私の講義は英米系の議論が中心でしたが、ドイツ系の発想に触れることで法哲学を立体的に理解するよいきっかけになったことと思います。中村先生には感謝申し上げます。
 これで「法哲学」本体の講義は終了です。短い間ではありましたが、ディスカッションが毎回盛り上がり、おかげさまで楽しい講義にできたと思っています。みなさんには心より感謝しています。講義そのものは終わりですが、今後も読書会その他、積極的に開催していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。


【第3回(9.26)の課題】

世界正義論、世代間正義論など、現実的な問題に取り組む正義論を考えます。
予習課題はこちらからダウンロードしてください
パスは初回に話したものです。わからない場合はメールください。

お題としては、前回のいくつかの正義論の話を前提に、
 (1) 国境を超えた遠くの人々に何らかの配慮をする義務はあるか、あるとすればなぜ・どこまでか?
 (2) まだ生まれていない将来世代に何らかの配慮をする義務はあるか、あるとすればなぜ・どこまでか?
といったことを議論します。国際問題などで「正義」の問題になりそうなことを考えておいてください。

予習文献としては、
 井上達夫『世界正義論』(筑摩書房、2012年)
 井上達夫「世界正義論に向けて」(立教法学83号、2011年、↑著に収録、こちらでネット閲覧可能)
 押村高『国際正義の論理』(講談社現代新書、2008年)
 トマス・ポッゲ『なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか』(生活書院、2010年)
☆吉良貴之「世代間正義と将来世代の権利論」(愛敬浩二編『人権の主体』(法律文化社、2010年))
などのうち、関心に応じて取捨選択して読んでおいてください。
特に世界正義論(グローバル・ジャスティス)については文献が多いので、上記以外の文献にも積極的に挑戦してみてください。
ただし、世代間正義論について☆印の吉良論文は読んでもらっていることを前提として講義します。

【第2回(9.19)の課題】

ロールズ以降の正義論の議論状況を一通りおさらいします。

お題としては、
 (1) 前回の「相続」の問題から続いて、「正当な財産」といえる範囲はどれぐらいか?
 (2) 日本で(3.11以後?)「正義」の問題に関心が集まっているのはなぜか?
といったことを議論できればと思っています。

その他の予習文献としては、
☆中山竜一『二十世紀の法思想』(岩波書店、2001年)、特にコラム4(102-111頁)
 平井亮輔編『正義――現代社会の公共哲学を求めて』(嵯峨野書院、2004年)
★盛山和夫『リベラリズムとは何か――ロールズと正義の論理』(勁草書房、2006年)
★W・キムリッカ『現代政治理論(新版)』(日本経済評論社、2005年)
 仲正昌樹『集中講義!アメリカ現代思想――リベラリズムの冒険』(NHK出版、2008年)
 M・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房[文庫]、2011年)
 中山元『正義論の名著』(筑摩書房[ちくま新書]、2011年)
 川崎修・杉田敦編『現代政治理論(新版)』(有斐閣、2012年)
などのうち、どれでもかまいませんので、ロールズ以降の正義論にかかわるものを読んでおいてください。
おおむね入門的なものを並べていますが、★印はやや発展的な内容です。
大量に文献がある分野なので、自分の関心に合わせて適宜、取捨選択して読んでかまいません。
ただ、できるだけ☆の中山著のコラムは読んでおいてください。


【概要】

 「法哲学」の入門的な講義を行う。英米の現代的な議論を中心に、各種の法・政治哲学的立場を踏まえ、下記の内容に記してあるような具体的論点に即して法哲学的思考を身に付ける。なお、法律や判例の具体的な知識は前提としないので、法・政治メジャー以外にも、社会問題について変わった角度から考え、議論に参加してみたいと思う者の履修を歓迎したい。(使用言語 J/E)

【学習目標】

 さまざまな法・政治哲学的立場の発想をふまえたうえで、自分なりに整合的と考える正義論・法概念論の立場から、各種の具体的問題について見解を述べられるようになること。また、実定法および政治学関係科目ほかでの論点にもその思考方法を応用できるようになること。

【内容】

1. 法哲学を学ぶ意義
 現代法哲学の議論状況を概観し、最近の判例などを素材に法哲学的思考を「実践」してみることで、法を哲学的・原理的に吟味する意義を理解する。

2. 正義 (1)
 ロールズ以降の正義論について、各種の立場を理解する。
 【内容】 リベラリズム、リバタリアニズム、功利主義、共同体論、各種の平等論
 【問い】 あなたが最も魅力的だと思う正義論上の立場は何ですか?

3. 正義 (2)
 現実的な社会問題における正義のあり方を考え、第2回で扱った各種の正義論上の立場の妥当性を吟味する。
 【内容】 グローバルな正義、世代間の正義、科学技術倫理、戦争責任論、死刑の是非
 【問い】 第2回で扱った各種の立場からはそれぞれ、現実の社会問題についてどのようなことがいえますか?

4. 自由
 「自由」について、各種の法・政治哲学的立場から概念の整理を行う。たとえば「ある行為ができる」という「可能」と「自由」はどう違うか、といった論点について考えを深める。
 【内容】 積極的/消極的自由、「割れ窓理論」など新しい刑事政策論、ダンス規制
 【問い】 「自由」が望ましいとすれば、それは「なぜ」? また、たとえば犯罪者にGPS装着を義務付けるといったことは許容されますか?

5. 権利 (1)
 「権利」について、各種の法/政治哲学的立場から概念整理を行い、正義論と法概念論の結びつきについて理解を深める。
 【内容】 利益説・意思説、将来世代の権利、動物の権利
 【問い】 将来世代や動物に「権利」があるといえますか? それは誰にどのような義務を課しますか?

6. 民主主義と公共的価値
 法が実現すべき「価値」は客観的・合理的に語りうるものか、またその実現・保障のあり方はどうあるべきかといった問題について理解を深める。
 【内容】 熟議、正統性、立憲主義、改憲問題、裁判員裁判
 【問い】 社会的に望ましい「価値」とはどのようなものであり、またその実現のために「民主主義」はよい仕組みといえますか? また、そこでの裁判所の役割はどういうものですか? 「裁判員裁判」は両者を補うものといえますか?

7. 法概念
 これまでの内容を踏まえ、「法」が妥当するとはどういったことか、「悪法」にいかに対処すべきかといった法概念論上の問題に取り組み、自分なりに適切と思える立場を構築する。
 【内容】 法実証主義論争、インテグリティとしての法、遵法義務
 【問い】 国内制定法、国際法、判例、慣習、道徳……、「法」といえるのはどこまで?

8. 権利 (2)
 ドイツ法思想(特に19世紀)における「権利」の捉え方について現代の英米の議論と比較することで、歴史的に相対化する視点を養う。なお、最終回になるので、これまでの内容を踏まえたまとめとしてのディスカッションも行う。
※ ゲスト講師招聘予定、終了後は希望者と懇親会を行います。
 【内容】 自然権、労働価値説、知的財産権の根拠
 【問い】 「著作権」について、それが「権利」であるといえるのはなぜですか?

【成績評価】

・期末レポートによって評価する。講義を踏まえたうえでテーマを設定し、自分なりに整合的と考える法・政治哲学的立場から一貫した論述ができるかどうかを問う。
・講義中のディスカッションに積極的に参加した者については一定の範囲(上限20%)で加点を行う。

【参考文献】

・特定の教科書は指定しない。
・法哲学・政治理論や実定法上の知識は特に前提とせず、初学者に配慮した講義とする。
・講義全体にかかわる入門的な参考文献として、以下など。
 中山竜一『二十世紀の法思想』(岩波書店、2000年)
 W・キムリッカ『現代政治理論(新版)』(日本経済評論社、2005年)
 稲正樹・寺田麻佑・吉良貴之『法学入門』(北樹出版、2014年予定)
・その他の参考文献は講義中に適宜、紹介する。
・毎回、一定の reading assignment を課すので、よく予習することが望ましい。

【使用言語】

・講義とディスカッションは基本的に日本語で行う。
・ただし、毎回の reading assignment には必要に応じて英語文献を指定する場合もある。

【注意事項】

・法律や判例などの知識は前提としないので、法・政治メジャー以外の学生も積極的に受講してほしい。各種の社会問題について、普段とは変わった角度から考えてみたいと思う者であればメジャーを問わず歓迎する。
・ディスカッションを重視するので、積極的な参加が望ましい。単位取得にあたって必須とはしないが、議論するのは何より楽しいと思う。
・各自の問題関心を発表(プレゼン)してもらい、全体で議論することも有益と思われるので、積極的な立候補を望みたい。
・参加者の興味関心に応じて、講義内容は柔軟に変更する。
・講義にあたっては、外部講師の招聘、映像素材の使用などを適宜検討する。
・質問等は講義の前後、およびメールで受け付けるので、遠慮なく行ってほしい。
・吉良のホームページには、連絡事項や配布資料を掲載するので、積極的に活用してほしい。なお、重要な連絡事項は必ず、学内掲示板等で確認すること。
・単位取得要件とは関係しないが、発展的内容を扱う自主ゼミナールの実施も検討する。昨年度の内容はこちら

シラバスはこちら(ICUサイト:上に書いてあることと同じです)。

ご質問などありましたら遠慮なくどうぞ。
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