[ トップ履歴業績講義連絡先 ]


 ドゥルシラ・コーネル『自由の道徳的イメージ』(御茶の水書房、2015年5月)


ドゥルシラ・コーネル『自由の道徳的イメージ』

 吉良貴之・仲正昌樹〔監訳〕、伊藤泰・小林史明・池田弘乃・関良徳・西迫大祐〔訳〕
 定価:4000円+税 ISBN:978-4-275-00928-9

 Drucilla Cornell, Moral Images of Freedom, 2008(amazon)の全訳です。

 本書は、ポストモダン・フェミニズムとリベラルな政治哲学の生産的な結合を模索してきたドゥルシラ・コーネルが、カント、ハイデガー、カッシーラー、ファノン、ベンヤミンといった思想家の古典的なテキストをラディカルに読み解く試みです。コーネルはそこで、私たちが世界を認識するときにつねに/すでに前提としている道徳的な枠組みの存在を明るみに出し、いまここにある世界が「他のものでもありえた」ことへの想像力を促します。それによってコーネルの最重要概念である《イマジナリーな領域》、すなわち、自己と世界が絶えず組み替えられていく場での《自由》のあり方が再定位され、私たちが無意識のうちに排除してきた「第三世界」的なるものへの《責任》の可能性が開かれていきます。

 装丁はグラフィックデザイナーの谷田幸さんにお願いしました。

 ご購入は最寄りの書店、もしくは以下のサイトからどうぞ。
 ・御茶の水書房amazonhonto紀伊國屋

★ ドゥルシラ・コーネル『イーストウッドの男たち』(吉良・仲正監訳、御茶の水書房、2011年)もどうぞ。


【目次】

 まえがき
 イントロダクション
   贖いの想像力のための闘争
   『限界の哲学』からの出発
 第1章 批判理論の伝統のカント的起源――自由の調和的な戯れ[カント]
   美的な戯れのためのシラーの洞察
   美的なるものについてのカントの見解
   崇高なるものについてのカントの見解
   仮説的な想像力
 第2章 現存在における尊厳――被投性と歓待のあいだ[ハイデガー]
   被投性に抗する牧人としての存在
   歓待の呼び声に心を留めること
 第3章 他者としてのシンボル形式――倫理的ヒューマニズムと言語の活性化させる力[カッシーラー]
   シンボルを操る生物としての人間存在
   適用可能性、多用途性、活性化
   カントの図式に対するカッシーラーの批判
   シンボル形式の不可避的な複数性
   創造的・投企的なシンボル形式
   「私」という立脚点
   客観性はいかにして可能となるか?
   カッシーラーと進歩
   ダヴォス討論
   レヴィナスのカッシーラーへの取り組み
 第4章 批判理論を脱植民地化する――黒人による実存主義の挑戦[ファノン、ゴードン]
   『黒い皮膚、白い仮面』
   『黒人の不可視性/匿名性というパラドクス』
   悪しき時代の自己欺瞞
   精神的、文化的変革としての武装闘争
   ゴードンによる現象学の再編
   進行中の垂直的ドラマ
   クレオール化の意義
 第5章 幻影装置のなかの贖い――社会主義の宿命を祓うこと[ベンヤミン]
 結論 ピエダーデの唄を心に宿す――国境を超えたフェミニストの連帯へ[トニ・モリスン]
   美的判断と崇高の親和性
   トニ・モリスン『パラダイス』
 [解説] 世界認識の偶然と限界――再想像の可能性の条件として(吉良貴之)

[担当]

 仲正昌樹 金沢大学法学類教授、監訳
 吉良貴之 宇都宮共和大学専任講師、監訳、イントロダクションほか訳、解説
 伊藤 泰 北海道教育大学函館校准教授、1章
 小林史明 明治大学大学院法学研究科博士後期課程、2章
 池田弘乃 山形大学人文学部専任講師、3章
 関 良徳 信州大学教育学部准教授、4章
 西迫大祐 明治大学 法と社会科学研究所客員研究員、5章・結論

 翻訳の最終チェックにあたっては、三浦基生さん(一橋大学修士課程、法哲学)にご協力いただきました。


TOPに戻る

inserted by FC2 system