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白鴎大学 経営学部/教育学部 2014年度・後期・水曜4限「日本国憲法」(90分×1コマ×15回 担当:吉良貴之)

 連絡事項を書いたり、配布物などを置くためのページです。
 講義が始まったら(9月)、予習用の文献指示などを追加していきます。

 この科目は、前期の科目と同じものですので、ご都合のよいほうを履修してください。
 ただし、時事問題との関わりや、そのときどきのみなさんの関心を重視するので、
 まったく同じ内容ではありません。


【概要】

 日本国憲法の基本的な内容について講義する。前半は各種の①基本的人権論を中心に扱い、後半は国家権力とその制度のあり方としての②統治機構論を中心に扱う。その背後にある立憲主義などの思想や、民主主義との関係など、各種の論点を多角的に扱うことによって、日本国憲法の総合的な理解を目指す。
 各回の講義では、できるだけ具体的な裁判例や身近な社会問題から出発し、徐々に憲法の根本的な問題に理解が及ぶように構成することで、初学者に配慮した内容とする。

【学習目標】

 各種の人権や統治機構について、ばらばらに暗記するのではなく、日本国憲法を構成する仕組みとして総合的に理解すること。そして、日本国憲法の基礎にある立憲主義などの思想を理解するとともに、現代の民主主義社会との関係を踏まえたうえで、今後の憲法のあり方について自分なりの考えを述べられるようになること。

【内容】

1. 憲法を学ぶ意義

 講義の概要、学習の進め方と目標について理解し、いま「憲法を学ぶ意義」について自分なりの問題意識をもつこと。
【課題】
・平和主義の発想、個別的自衛権と集団的自衛権の違いなどを理解すること。
・「理想」と「現実」のバランスのなかで憲法問題を捉えていくこと。

2. 日本国憲法の成り立ち

 日本国憲法の制定過程を踏まえ、明治憲法や海外の憲法との比較のうえでその基本原理を理解する。
【課題】
・憲法の教科書(どれでもいいです)の最初のほうの、歴史の部分(明治憲法との比較など)を読み、現憲法との違いを整理すること。
・現代日本での「天皇」のあり方について整理すること。
 → 山本太郎議員の「お手紙」事件

3. 基本的人権 (1) 総論

 社会契約論をはじめとする各種の「人権」思想史をまとめ、多数決に対する「切り札」としての人権の発想を理解する。
【課題】
・「人権」が「誰の」「誰に対する」権利なのかを理解すること。
・憲法の「私人間効力」について、なぜそれが問題になるのか、具体的な事件・判例をもとに理解しておくこと。

4. 基本的人権 (2) 精神的自由①

 精神的自由を中心とする人権について理解する。

5. 基本的人権 (3) 精神的自由②

 引き続き、精神的自由を中心とする人権について理解する。
 とくに言論の自由と民主主義の関係について理解を深める。具体的な素材として、インターネットにかかわる法律問題も扱う。

6. 基本的人権 (4) 経済的自由・社会権

 経済的自由や社会権を中心とする人権について理解する。
 とくに生活保護や社会保障など、近年議論になることが多い問題について自分なりの考えをもつ。

7. 基本的人権 (5) 子どもと人権

 子どもにかかわる人権問題の理解を深める。
 とくに、いじめ・体罰など教育現場における各種の問題を通じて具体的に考えていく。

8. 基本的人権 (6) 家族・ジェンダーと人権

 性別(ジェンダー/セクシュアリティ)、家族にかかわる人権問題について理解する。

9. 統治機構 (1) 総論

 日本国憲法での統治機構の仕組みについて、その役割分担とともに理解する。

10. 統治機構 (2) 立法

 国会の立法権について理解する。
 とくに具体的な政治過程を素材とし、日頃の政治ニュースを十分に理解できるようになることを目指す。

11. 統治機構 (3) 行政

 行政と地方自治の基本的なあり方について理解する。
 道州制への動きなど、活発になりつつある「地方政治」の憲法上の位置付けや人権、民主主義との関係について考えを深める。

12. 統治機構 (4) 司法①

 裁判員裁判などを例に、司法のあり方を理解する。刑事における被告人の人権についても十分に理解する。

13. 統治機構 (5) 司法②

 違憲立法審査権について、各種の判例を素材にしながら検討し、国家権力間のチェック&バランスの具体的なあり方について理解を深める。

14. 憲法と民主主義

 民主主義社会での憲法の役割や、立憲主義の基本的な発想について理解する。
 具体的な問題として、「一票の格差」問題なども扱う。

15. 日本国憲法の今後

 憲法の「改正」にかかわる問題について論点を整理し、今後の論議に向けて自分なりの考えをまとめられるようにする。

【成績評価】

①具体的な評価方法
 (1) 期末試験またはレポートによる。
 (2) 各回の講義の終わりに、簡単な小テスト・小レポートなどを実施する(平常点)。
②評価方法の比率
 (1)の期末試験またはレポートを70%程度、(2)の小テストなどを30%程度とし、総合的に評価する。

【参考文献】

 特定の教科書は指定しないが、標準的な憲法の教科書をいずれか1冊、購入すること。読みやすそうなものを自分で選んでもらってかまわない。また、とくに新しいものである必要はありません。例としては下記のものなど(これ以外でも可)。

1. 初学者向け

・渋谷秀樹『憲法への招待』(岩波書店[岩波新書]、2001年)、798円 (※2014年新版もあり)
・長谷部恭男『憲法とは何か』(岩波書店[岩波新書]、2006年) 735円

2. 意欲のある受講生向け

・芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第5版)』(岩波書店、2011年)、3255円
・辻村みよ子『憲法(第4版)』(日本評論社、2013年)、3990円

3. 参考文献

・辻村みよ子『比較のなかの改憲論――日本国憲法の位置』(筑摩書房[ちくま新書]、2014年)、798円
・木村草太『憲法の創造力』(NHK出版、2013年)、819円
・志田陽子編『映画で学ぶ憲法』(法律文化社、2014年)

ほか、毎回の講義では詳細なレジュメや資料(特に判例にかかわるもの)の配布、スライド上映などを行う。
また、論点ごとに適宜、参考文献を紹介する。

【注意事項】

・「日本国憲法」について初学者向けの講義とする。法律・裁判例などについて前提知識は必要としない。
・社会的なニュースを多く素材に用いるので、普段から新聞やインターネットのニュースに目を通しておいてほしい。
・参加者の興味関心に応じて、講義内容は柔軟に変更する。
・講義にあたっては、外部講師の招聘、映像素材の使用などを適宜検討する。
・質問等は講義の前後、およびメールで受け付けるので、遠慮なく行ってほしい。
・吉良のホームページには、連絡事項や配布資料を掲載するので、積極的に活用してほしい。なお、重要な連絡事項は必ず、学内掲示板等で確認すること。

ご質問などありましたら遠慮なくどうぞ。
→ 教員連絡先


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