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 シーラ・ジャサノフ『法廷に立つ科学――「法と科学」入門』(勁草書房、2015年7月)


シーラ・ジャサノフ『法廷に立つ科学』

 [監訳]渡辺千原吉良貴之
 [翻訳]中村多美子・加藤源太郎・関谷翔・小林史明・川瀬貴之・住田朋久・定松淳・西迫大祐・佐藤裕則

 ★ 3780円(税込) A5判 320ページ ISBN:978-4-326-40304-2
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 ★ 勁草書房amazonhonto紀伊國屋

 Sheila Jasanoff, Science at the Bar, 1995(amazon)の全訳です。

 法が科学をつくり、科学が法をつくる――
 現代に生きる私たちは、科学技術がもたらしてくれる便利さへの依存をますます強めています。しかし、そこにはつねに倫理的・法的・社会的問題が存在しています。たとえば東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所の事故は、社会問題としての科学技術の性格を改めて私たちに突きつけました。私たちは科学技術にどのように向き合えばよいのでしょうか? 「法」はそこで有益な手段たりうるでしょうか?
 「法」は科学技術を一方的に規制するだけのものではありません。逆に、先端科学技術によって引き起こされた問題が法廷に持ち込まれることで潜在的な争点が明らかになり、その過程で法そのものもまた変わっていきます。法廷は両者が出会い、そして影響を与え合う重要な場です。本書は「科学裁判」の豊富な事例をもとに、「法」と「科学」が相互に構築し合っていく様子を「科学技術社会論(STS)」的視点から分析していきます。そこからは「法と科学」の生産的な関係へのヒントがきっと見出されることでしょう。

 ★ 著者のシーラ・ジャサノフ氏からいただいた「日本語版への序文」をこちらで公開しています。

 参考文献として、訳者たちが作成した『法と科学のハンドブック』(ページ中程にPDFを全文公開)もぜひどうぞ。
 本書装丁はグラフィックデザイナーの谷田幸さんにお願いしました。

【新着情報】

 2018.02.27 [著書]渡辺千原『訴訟と専門知:科学技術時代における裁判の役割とその変容』日本評論社。
 2017.08.01 [書評]米村滋人「文献紹介 シーラ・ジャサノフ著(渡辺千原=吉良貴之監訳)『法廷に立つ科学:「法と科学」入門』」『年報医事法学』32号、180-185頁。
 2017.06.01 [論文]吉良貴之・定松淳・寺田麻佑・佐野亘・酒井泰斗「〈法と科学〉の日米比較行政法政策論」『科学・技術・社会』26巻、pp. 71-102.
 2015.10.16 [発表]日本法社会学会関西支部研究会@大阪大学、吉良「法と科学、不確実性下の立憲主義」
 2015.10.10 [発表]科学社会学会@東京大学、書評セッション「シーラ・ジャサノフ『法廷に立つ科学』」(佐野亘、寺田麻佑、定松・吉良)
 2015.07.13 [発表]リスク評価勉強会(FoRAM)@東京大学(渡辺・小林)。


【著者】

 シーラ・ジャサノフ(Sheila Jasanoff, 1944- ):ハーバード・ケネディスクール教授。科学技術社会論(STS)専攻。インド・ムンバイに生まれ、後にアメリカに移住。学部では数学、大学院では言語学を専攻する(言語学 Ph. D)。その後、ハーバード・ロースクールを卒業、弁護士として主に環境法実務に携わった。1978年からコーネル大学・科学技術研究部局に所属し、科学技術社会論のパイオニア的存在となる。1998年にハーバードに移籍。代表作に The Fifth Branch (1990)、Designs on Nature(2005)など。(→ wikipedia [en]

【目次】

 日本語版への序文(原著者による書き下ろし)
 まえがき
 序文
 1章 科学と法の交わるところ
  1.1 真実か正義か?
  1.2 法的探求と科学的探求の文化
  1.3 裁判とテクノロジー・アセスメント
  1.4 法廷における科学と技術
  1.5 手がかりとなる諸問題
 2章 変化する知識、変化するルール
  2.1 製造物責任
  2.2 医療過誤
  2.3 環境訴訟
  2.4 連続性と変化
 3章 法が専門性を構築する
  3.1 専門家証人という文化
  3.2 対抗的科学の脱構築
  3.3 司法の門番機能と専門性の再構築
  3.4 ドーバート判決以後の科学と法
  3.5 これからのために
 4章 政府は専門性をどう語ってきたのか
  4.1 予防原則的規制の興隆
  4.2 行政の説明責任と科学的論争
  4.3 「ハード・ルック審査(hard look)」理論
  4.4 科学政策パラダイム
  4.5 リスク評価における自由裁量の縮減
  4.6 敬譲審査への回帰
  4.7 文脈の変化:技術官僚的な裁判官と民主的な専門家
  4.8 政府の言説を民主化する
 5章 科学のコミュニティにおける法
  5.1 科学における仲間、法における従属者
  5.2 科学を取り締まる:両義的な記録
  5.3 研究の外側の境界
  5.4 宗教に対抗する科学
  5.5 制限された自律

 

 6章 有害物質をめぐる不法行為と因果関係の政治
  6.1 法的ジレンマの誕生
  6.2 化学物質と疾患:不確実な結びつき
  6.3 司法の事実認定における経験主義
  6.4 主流の科学を捜して:臨床環境学の場合
  6.5 意義ある改革に向けて
 7章 法廷のなかの遺伝子工学
  7.1 初期の組換え DNA 論争
  7.2 自己規律の限界
  7.3 生命の特許化
  7.4 意図的放出をめぐるポリティクス
  7.5 法への訴え
  7.6 対立する解釈
  7.7 紛争からの撤退
  7.8 規律ある議論
 8章 家族にかかわる問題
  8.1 「プライバシー」の意味をつくり出す
  8.2 胎児の権利の領域のマッピング
  8.3 家族を再構築する
  8.4 生物学と社会のネットワークのなかの法
 9章 生と死のさまざまな定義
  9.1 死の床から法廷へ
  9.2 問題の組み立て方
  9.3 患者を構築すること
  9.4 市民としての患者
  9.5 司法の役割の再検討
 10章 さらに反照的な協働関係に向けて
  10.1 「主流科学」の神話
  10.2 司法が達成したものの記録
  10.3 政策改革―――信頼しつつの批判
  10.4 訴訟社会での対立と合意

 「法と科学」の相互構築性―――解説にかえて(渡辺千原・吉良貴之)
 事項索引・人名索引・判例索引

[正誤表]

 ・p. 64, 1行目 普遍的な合意(すなわち一般的合意)にいたっていなくても → 普遍的な合意にいたっていなくても(すなわち一般的な合意でも)
 ・p. 264 注43 49 N.J. at 28. → 49 N. J. at 38. 注38は 49 N.J. 22(1967).
 ・p. 277, 28行目 ジャサノフは1953年にインドで生まれ → 1944年
 ・p. 278, 2行目 法学博士(J.D.)→ 法務博士(J.D.)
   ※ 「法学博士」は一般的に J.S.D. (Juris Scientiae Doctor) など。

[担当]

 渡辺 千原 立命館大学法学部教授(法社会学)、監訳・解説
 吉良 貴之 宇都宮共和大学シティライフ学部専任講師(法哲学)、監訳・解説・10章ほか訳
 中村多美子 弁護士(弁護士法人リブラ法律事務所)、1章(前半)
 加藤源太郎 追手門学院大学社会学部准教授(社会学)、2章
 関谷 翔  東邦大学理学部非常勤講師(科学技術社会論)、3章・組版
 小林 史明 明治大学大学院法学研究科博士後期課程(法哲学)、1章(後半)・4章・序文ほか
 川瀬 貴之 千葉大学法政経学部准教授(法哲学)、5章
 住田 朋久 出版社勤務、6章
 定松 淳  東京大学教養学部附属教養教育高度化機構特任講師(社会学)、7章
 西迫 大祐 明治大学 法と社会科学研究所客員研究員(法哲学)、8章
 佐藤 裕則 日本弁護士連合会情報統計室研究員(法哲学)、9章


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